武蔵の国のお伊勢さま

所澤神明社は関東の伊勢信仰の一端を担ってきた神社です。

日本武尊(やまとたけるのみこと)が創始とされる神社としては、奥秩父の三峰神社が有名ですが、そのほかにも関東には横浜市緑区にある杉山神社のように、日本武尊を祭る神社が数社鎮座しています。

もともと、東(あずま)の名は、尊が関東の地をながめつつ、妻の弟橘比売命(おとたちばなひめ)を想い「吾妻(あづま)」と呼びかけられたことに由来します。

同様に関東地方に天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祭る古社としては、東京都港区芝大門の芝大神宮があります。この神社は、かつては「芝神明(しばしんめい)」の名で知られ、「関東のお伊勢さま」と呼ばれていました。この神社は平安時代の寛弘二年(1005)の創建です。

当神社の西参道に残る外周二丈有余の老けやきは、樹齢千年を越える老木だと専門家は言いますし、関東地方の伊勢信仰から推測しますと、当神社は少なくとも平安以前、奈良時代にはすでに神社として鎮座していたと考えられます。

関東地方の古代の伊勢信仰は、芝大神宮、船橋大神宮とともに、当神社、所澤神明社がその拠点になったものといえるでしょう。